エルメス、クロムハーツ、ボッテガヴェネタ、ファーロ、ホワイトハウスコックス、フェリージ、ガンゾ、万双、などなど、今まで様々な財布を使ってきました。どれもそれぞれに素晴らしい物です。ゆえにお高いです。
そして購入価格が高ければ高いほど、その役目を終え財布としての寿命を迎える日は切ないものがあります。
大枚叩いて手に入れた最愛の財布ですから、毎日毎日使います。一般的に、財布の寿命は3年くらいと言われていて、くたびれたものを使うと金運が下がるとか、そんな風潮もあります。
革製品の中でも、その構造と使用頻度、そしてお金を出し入れする性質から、最も早く寿命を迎える革製品である財布。それなのに満足いくものを探すと高い!何よりも早くくたびれるくせに!
高級ブランドは古びたら貧乏臭が漂う
特にいわゆるEU系高級ブランドと呼ばれる財布のくたびれた姿ときたら、、、目も当てられません。新品時のオーラは皆無で、貧乏臭さえ漂います。なんということでしょうか。大枚はたいて貧乏臭。
この点に関して、前々から納得いかなかったんですが、あえてこうして文章にしてみると本当に理不尽なことだと、我ながらハッとします。
EU系高級ブランドと、エイジングはマッチしないというこの現実。
WHCはエイジング良いけど何か足りない
ホワイトハウスコックスの財布、ブライドルレザーのエイジングは有名で、僕も4つほど所有していてそれぞれ2〜3年ほど使用しています。それなりにエイジングも進んでいます。が、何かが違う。何かが物足りない。
正直に言います。WHC、エイジング進んでもテンション上がらないんですよね。あくまで僕の場合。なんでだろう。なんかWHCでさえ、エイジング進むとくたびれた感が漂うのですよね。あーあ。
世界最強のエイジング財布は一体どれだ
この記事で書いたように、僕の中での世界最強のエイジングバッグは文句なしにフィルソンであります。
財布は一体どれなんだ。
そう思って探すと、どうやらそれは国内ブランドのワイルドスワンズに違いない、という答えにたどり着くのです。(理由は後述)
しかしよくよく思い出すと、実は同ブランドの財布を二個お蔵入りさせていたことにも気づくのですが。
WILDSWANSというブランドとは
ワイルドスワンズは、1998年に設立された国内のブランドです。歴史浅いのに最強とは言い過ぎじゃないか、という声が聞こえてきそうですが、あえて言います。「10年以上使える財布」。それをメーカーが公式に全面的に丹精込めてエイジングサポートしています。
「短期間で使い捨てられてゆくことのない様々な魅力を感じて頂ける物を作り続けてゆくこと」がワイルドスワンズのテーマとなっています。
ワイルドスワンズ最強の理由は後述しますが、、まずは
革の履歴書を見てほしい
百聞は一見にしかずと言いますが、ワイルドスワンズの公式HPに「革の履歴書」というページがあります。ちょっと画像を借りてきますがこんな感じです。
リンク:WILDSWANS|革の履歴書
この財布は1999年購入。実に20年近くも経っていますが、いまだ現役。風合いは増していますが、芯はしっかりと立ちヘタってはいません。
いかがでしょうか。ここには早くヘタって貧乏臭を漂わせ、買い替え需要を一定サイクルで回す、というビジネスライクな発想はありません。
それが悪いという訳ではありませんが。
いかに10年以上の長きにわたり、ちゃんと使えるか、の視点から始まり、その思想で確かな素材を確かな技術であつらえた質実剛健財布、そういう物が日本にあったのです。
それを知らずになんとなくワイルドスワンズの財布を買って、革が硬いなとか思ってしまい込んでいた自分の無知さに気づき、もう穴があったら入りたい気分です。
なぜワイルドスワンズがエイジング財布最強なのか
ワイルドスワンズの財布がエイジング最強だと思う理由をあげます。
革の頑丈さが最強
ワイルドスワンズが採用するレザーの中でも、最も人気の定番レザーである「サドルプルアップレザー」。これはベルギーのマシュア社(19世紀創業の老舗タンナー)が生産する「ベジタブルタンニンなめし」という100%ナチュラル製法でつくられたレザーで、特筆すべきはその堅さと厚み。そもそもサドルプルアップレザーの「サドル」とは、馬術や乗馬の鞍(サドル)が語源であることから分かる通り、人がまたがり全体重をかける部分に使用されるほど、その耐久性は郡を抜いた物です。
また「プルアップ」とは、皮革を折り曲げたり、引っ張ったりした時にオイルが繊維内を移動して表面の色が変わる「プルアップ効果」が名前の由来で、部位としては牛革の中でも平均的に厚めの成牛の肩(ショルダー)の部分が使ってあります。繊維密度が高くコシが非常に強いのが特徴で、透明感のある光沢は使い込むことで更に増し、徐々に馴染んで自分だけのものに変化していきます。重厚極まりない、芯の通ったレザーでありつつ、エイジングが少しずつ進むとツヤと共にほどよい柔らかさを持ち、けしてヘタるような腰のないものではありません。
新品時の革の堅さと厚みはどんな財布にも負けません。
コバの仕上げが最強
ワイルドスワンズといえば「コバ」。この分厚い、そして磨き抜かれたコバは圧巻。ブランドとしてコバの品質が耐久性に直結していると考えており、WILDSWANSの革小物製品にはSLICKER(スリッカー)と呼ばれるコバ専用の修復道具が付属されています。
* コバとは革の裁断面のことで、商品の輪郭部分です。 コバのカサつきを感じられた時や傷んでしまった時に、スリッカーをコバ部分にあてて素早くこすってください。摩擦と圧力によって革の繊維が引き締まり、光沢が上がり、元の滑らかなコバを復元することができます。
財布のパーツ数も半端ないです。
足踏み式ミシンの縫製が最強
ワイルドスワンズの製品は全て茨城県のアトリエで、職人の手作業により作られています。特徴的なのは創業当初より現在も、縫製には「足踏み式のミシン」を使用していること。
電動ミシンによる縫製は、手縫いに比べてテンポのある正確な縫い目や、勢い良くダダダダーと進むことで時間の大幅な短縮により効率が上がるところが魅力ですが、その機械任せのテンポにより糸が革にしっかりと食い込んでいない、若しくは革を正確に交差していないのに先に進んでしまう可能性もあります。それは糸が切れてしまった場合、簡単にほつれてしまうということに繋がり、結果として製品としての寿命も短くなってしまいますので、ブランドの考えからすると本意ではありません。
対して電気を使わないアナログな足踏み式ミシンの場合、職人の感覚によって縫製スピードや強弱を微細なレベルで調節しながら進められるので、電動ミシンの短所を克服し手縫いに近い利点を持って縫製出来ます。機械任せではなく自分の感覚や経験に基づいて、しっかりと糸が革に食い込み交差されるよう、深く、ゆっくりと丁寧に縫製出来ますし、革が重なって厚くなった部分や細かくて縫製が困難な箇所に於いてはミシンのサイドにある丸いハンドルを手で回し、職人の繊細な感覚をハンドルに伝達させながらじっくりと縫製していきます。
公式ブログより引用。上記のような深い理由により今でもワイルドスワンズ工房では足踏み式のミシンでしっかりと長持ちする製品が作られています。
ワイルドスワンズアトリエ
メンテナンス・サポートが最強
前述したように、ワイルドスワンズのサポートは半端ない熱意です。サポートではなく「エイジングサポート」とまで言い切って、他のブランドでは絶対言わないであろう「10年」という期間まで明言しており、公式サイトの革の履歴書には10年選手の財布たちが、これでもかと展示してあります。
メンテナンスは持ち込みでも郵送でも受け付けてもらえます。
まとめ 本気で10年以上使える財布はワイルドスワンズだ
以上のように延々と書き連ねましたが、革質、縫製、メンテナンス、その全てが10年以上壊れたり傷むことを恐れることなく、本気で使える財布(革製品)のために注がれている、そんなブランドがワイルドスワンズなのです。
と偉そうに書きましたが、そんなことも知らず数年前にただカッコいいからという理由で2つほど同社の財布を買っておりました。こんなにも製品の耐久性のために努力を重ねたブランドであることも知らなかった自分が、いろいろ調べるうちに恥ずかしくなりました。
これからじっくりとこの財布を使い倒して、革の履歴書に掲載されるようなエイジングを楽しみたいと思います。
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